2021年3月20日 日経新聞
会社に入って早い段階で辞めるとスキル(技能)の習得が遅れがちになる。とりわけ高卒で就職した人にこの傾向がみられる。民間調査では、就職活動で企業の情報をできるだけ集めてキャリア形成への意識を高めておかないと、早期に離職しやすい実態が浮かび上がった。問題の根にあるのは高校生の主体的な就活を妨げている慣行だ。高校を卒業して就職する人は2014年以降、18万人台で推移。卒業生の2割弱にあたる。若者の人口減少が進むことを考えれば、大卒の就職者(20年春で約44万6千人)と同様、日本経済を担う貴重な人材資源だ。
①高校生の早期離職の問題
解説(リンクコンサルティンググループ 和田康拍)
高卒新卒者の早期離職が問題になっています。就職後3年以内に辞める割合はなんと40%に上り、企業の人材育成の問題と同時に、若者のキャリア形成上の問題にもなっています。調査では、就職一年目に入った会社の点数が0点と答えた新人が24%、つまり四人に一人は入社段階でのミスマッチを訴えていることになります。
②1人1社制への疑問
解説(リンクコンサルティンググループ 和田康拍)
古くからの1人1社制は、大手企業が高卒者を効率的に採用するための採用システムです。入社企業を決定して入社するまでの手間が最もかからないシステムでもあります。一方で「職業選択の自由」、「 会社や職業研究の不足」、「未成熟な就労意識」など様々な問題を内包した制度でもあります。今後は、高校の先生だのにだけではなく、 一人複数応募制へのシフトが進んでいくことも視野に入れた高校生求人活動が必要になってきます。